スチールギターとは

スチールギターはハワイアンやカントリー音楽で使用されてきました。スチールの弦を張ったギターを横に寝かせた形にして、左手で金属バーを弦の上に乗せてスライドさせ、ピックをつけた右指で弦を弾いて音を出します。初期の頃は生音でしたが、やがてエレキギターのようにアンプに繋いで音を拡大するエレキのスチールギターが使われるようになりました。

 

スチールギターの種類

スチールギターには様々な種類があります。

 スチールギターのタイプ 

椅子に座って膝の上にスチールギターをのせて弾くラップトップ式は軽量で持ち運びに便利です。三脚付きのためスチールギターを立ち姿で弾くことができるスタンド式のタイプがあります。ハワイアンスチールギターの弦の本数には6弦タイプや8弦タイプがあります。カントリーでは10弦でペダル付きのタイプも使われます。

 複数ネックのスチールギター 

スチールギターのチューニングの仕方は何種類もあって、用いるチューニング次第でとても素敵な和音を響かせることができます。好みの和音を出すために、数種類のチューニングを使いたいプレイヤーは6弦・8弦のダブルネックやトリプルネックを愛用しています。さらにペダルを踏むことでチューニング自体を変化させることができるペダル式スチールギターなどの種類があります。

 


トーンバー

スチールギターを弾くことを上達するのにとても大事なことは、ステンレス製のトーンバー(スライドバーとも呼ぶ)を上手く持って、弦上をスムーズにスライドして動かせるようになるまで練習することです。

最初は丸いバーを弦の上でうまく支持することが難所です。和音弾きのときと、単音弾きのときでバーの持ち方をスムーズに持ち替えられるようになることが上達のポイントとなります。

まずは、トーンバーの種類と基本的なバーの持ち方をご紹介します。

 トーンバーの種類 

ステンレス製のバーは150〜200gの重さがあり、丸棒形状であるため滑りやすいので左手でしっかりと保持して、スライド時に落とさないように動かさなくてはなりません。
私が主に使用しているのは、写真左の先細型のバーで、長さ80mm、先端は直径17mmの球先端はやや潰れた形状で、太い部分の直径は20mm、重量は140gです。軽くて動かしやすいと感じています。
右の先丸寸胴型のバーは、長さ82mm、直径22mm、重量220gです。やや重くしっかりと和音を出したい8弦や10弦のスチールに適しています。
どちらも、6弦または8弦のスチールギターに使用できます。
ほかにもスチールギタープレイヤーの中には、丸棒ではない形のものや樹脂製の円筒バーを使用している方もいらっしゃいます。持ちやすさと音質に関わるトーンバーの形状と重量と材質は弾く人の好みで決めれば良いと思います。

 トーンバーの持ち方 

ステンレス製のバーは200g前後の重さがあり、丸棒であるため左手でしっかりと支持して、落とさないように動かさなくてはなりません。

注意点として、トーンバーが弦に接している左側の弦は振動させないように左手の薬指と小指を弦に触れている必要があります。

バーでビブラートを掛けるときには、左手で弦に触れている二本の指を支点にして、指三本でバーを保持し左右に振ります。

 

・和音を弾くときのバーの持ち方

 

バーを弦にベタ置きするような形になります。親指、人差し指、中指の3本の指でバーを保持し、薬指と小指で弦の左側をミュートします。


・単音を弾くときのバーの持ち方


単音で弾くときはトーンバーの先端部を弦にあてた状態で右指で弦をピッキングします。バーの先端部で弾くには、親指でバー後方を持ち上げて、人差し指と中指でバーの動きをコントロールします。バーは丸いので滑り落とさないように練習を重ねます。特に指が乾燥していると滑りやすいので注意しましょう。小指と薬指は弦の左側をミュートし、ビブラートの支点にします。


 

フィンガーピック

スチールギターの弦はスチール弦です。弦を「はじく」には、右手の親指には樹脂製のサムピックを、人差し指と中指には金属製のフィンガーピックをはめて弦を弾きます。

 

 スチールギター用のピック 
サムピックは親指にはめます。人差し指と中指にはNational製のメタルフィンガーピック(ニッケルシルバー)をよく使用します。

 


 ピックと右手の構え方  
3個のピックの先端がちょうど弦を弾きやすい位置で右手を構えます。このように弦を弾くことをピッキングといいます。単音の場合は親指と人差指で交互にピッキングをしてメロディやフレーズを弾きます。2和音、3和音の場合は、弦を選んで2本または3本の弦を同時にピッキングします。

チューニング

スチールギターには多種多様なチューニング方法が使用されます。
このサイトではスチールギターのチューニングを C6 (= Am7) で解説します。

 スチールギターC6チューニング 
ハワイアンで最もポピュラーなチューニングが、C6です。
C6チューニングのコード構成音は、ドミソラです。ドミソの弦だけを弾くとCメジャーの和音が出ますし、ラドミの弦だけを弾くとAマイナーの和音がでるのでとても便利なチューニングだと思います。

さて調弦方法ですが、6弦スチールギターでは、上から、ECAGEC に調弦します。

8弦スチールギターの場合は、上から、GECAGECA(Gtop) に調弦する人と、上から ECAGECAG(Etop) に調弦する人がいます。
いずれもチューニングは自分の好みやスタイルで行うわけで、これでなければいけないという規律はありません。

このサイトでは、C6 チューニングで解説します。


チューナーで正確に調弦しましょう。
弦の番号は上から123456です。ですから1弦開放を E に合わせます。2弦開放を C に合わせます。以下同様で 6弦開放を C に合わせるまで調律します。これで、C6 チューニングのスチールギターとして演奏できる状態になりました。

スチールギターアンプ

スチールギター本体からは小さな生音しか出ませんので、スチールギターを演奏する際には、アンプが必要です。ギターアンプには、様々なメーカーと機種が存在します。どれでも音は出るのですが、スチールギターらしいリバーブのかかった音のほうが練習時も気分が良いと思います。ギターアンプについてご紹介しておきます。

 ギターアンプについて 
ギターアンプで考えることは、演奏場所において大音量が必要かどうか、リバーブやディレイなどのエフェクトがアンプに付いているかどうかです。自宅や少会場であれば、大音量は必要ありませんので小型のアンプで十分です。

写真左のRoland社製 Mobile Cube は出力が5ワットと小さいですが、2.4kgと軽量で持ち運びが容易で、リバーブやコーラスの音質も良好です。
写真左のFender社製ツインリバーブは出力が100ワットもあり、ライブハウスや大ホールでも直接会場に届く大音量を出すことができます。リバーブも内蔵していて申し分ない音質です。

スチールギターを人前で演奏する時には、アンプのスピーカーから出る音圧や音の太さ、リバーブなどエフェクトの質などについて検討するよい機会です。音質は実際に耳で聞いて感じるものなので、このサイトでも説明することはいたしません。